奈良の古墳
奈良をめぐるとき、小高い丘やぽっこりとした山を見かけることがありませんか? もしかするとその一部は古墳かもしれません。
古墳は3世紀中頃から7世紀にかけて造られた、故人を埋葬したお墓です。時代や被葬者の身分によって規模は違いますが、巨大なものは400mを越えるものもあります。日本全国で見つかっている約16万基の古墳のうち、奈良にある古墳は約9700基になります。
奈良県内では、3世紀中頃、現在の桜井市・纒向遺跡(まきむくいせき)のあたりに全長が100m以上ある王墓クラスの前方後円墳が造られました。全国的にも古墳が造営された最初期にあたります。以降、4世紀後半ごろまで、その周辺に集中して前方後円墳が造られていることから、初期のヤマト王権があったと考えられています。また、7世紀になると薄葬になり、8世紀になると古墳の築造は終焉を迎えました。
高松塚壁画の発見から50年
昭和47年(1972)、考古学にとって画期的な出来事が訪れました。明日香村の高松塚古墳で、石室内を彩る四神と星宿図(せいしゅくず) 、16人の古代の人物が描かれた極彩色の壁画が発見されたのです。華やかな壁画古墳が見つかったのはこの時が初めてでした。高松塚古墳でのこの発見は、考古学の分野だけでなく古代史や美術史、服飾史などにも影響を与えました。古代が多くの人々にとって身近なものになっていくきっかけにもなりました。今年2022 年は、そんな高松塚古墳壁画発見から50年の年に当たります。
古墳は、現代の私たちにとっては古代の人々の営みを知る手がかりであり、貴重な文化財です。県内には古墳を知るための施設や、公園として整備され、訪れやすい古墳もあります。