社寺では、神仏の使いや
眷属
として、特定の動物が大切にされていることがあります。
そのような動物は社寺のシンボルとして、授与品などのモチーフになっていることも少なくありません。
大切にされている理由を知れば、社寺めぐりが一層意義深いものになります。
巳おおみわじんじゃ大神神社
蛇への信仰は日本各地の社寺で見られますが、中でもよく知られているのが大神神社です。ご祭神の大物主大神は倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)と結婚しますが、姫とは夜にしか会いません。姫は昼に会いたいと願い、大物主は決して驚かないことを条件に、翌朝姫の櫛の箱に居ることを約束します。しかし箱を開けた姫は、中に居た小蛇に悲鳴を上げてしまい、蛇は大物主に姿を変え、三輪山に帰ってしまったということです。
三輪山そのものをご神体とする、日本最古の神社のひとつです。拝殿(重文)前には、大物主大神の化身である白蛇が棲むという巳の神杉があり、拝所には蛇の好物である卵がお供えされています。
- 桜井市三輪1422
- 0744-42-6633
- ●JR三輪駅から徒歩約5分
●近鉄桜井駅から天理駅行きバス「三輪明神参道口」下車、徒歩約10分
寅ちょうごそんしじ朝護孫子寺
トラはその強さゆえに古くから信仰の対象とされ、武将の甲冑のデザインなどにも取り入れられてきました。朝護孫子寺は聖徳太子が毘沙門天を感得したという信貴山にあり、その日が寅年、寅の日、寅の刻だったことから、境内のいたるところで張子型や石造のトラが見られます。
信貴山の中腹に伽藍を構える大寺です。本尊毘沙門天王像を祀る本堂からは、奈良盆地が一望。境内の塔頭寺院では、写経や坐禅を体験することもできます。
- 生駒郡平群町信貴山2280-1
- 0745-72-2277(本坊)
- JR・近鉄王寺駅 または
近鉄信貴山下駅から信貴山門行きバス「信貴大橋」下車、徒歩約5分
狐げんくろういなりじんじゃ源九郎稲荷神社
狐は全国の稲荷神社で神の使いとされていますが、大和郡山市にある源九郎稲荷神社の祭神は、源平合戦で活躍した源義経に名乗りを許された源九郎狐(義経(ぎつね))。近くに住む子狐を助け、村人を苦しめる大蛇を退治したなどの勇ましい伝承も伝わっています。授与所には狐のストラップなど、源九郎狐をモチーフにした授与品が並びます。拝殿前では、宝珠(ほうじゅ)と巻物をそれぞれくわえながら笑っている狛狐が出迎えてくれます。
豊臣秀吉の弟・秀長が郡山城を大改修した際に、郡山の守護神として勧請したのが始まりです。源九郎狐が登場する歌舞伎『義経千本桜』は今も人気の演目で、関係者が度々参拝に訪れます。
- 大和郡山市洞泉寺町15
- 0743-55-3830
- JR・近鉄郡山駅から徒歩約10分
犬だるまじ達磨寺
王寺町達磨寺境内にあるおすわりした犬の像は、聖徳太子の愛犬・雪丸の像です。雪丸は言葉を理解し、お経も読めたといいます。達磨寺はその雪丸を葬ったとされる場所で、いつからか元日になるとこの像が吠えると噂されるようになり、今では吠えた年は豊作になるといわれています。
寺は聖徳太子が達磨大師と出会ったと伝わる地にあり、本堂には聖徳太子像(重文)、達磨像(重文)などを安置しています。雪丸は地域で親しまれ、今ではマスコットキャラクターとなって、町のPRなどに活躍しています。
- 北葛城郡王寺町本町2-1-40
- 0745-31-2341
- ●JR王寺駅から徒歩約15分
●JR王寺駅・近鉄新王寺駅から明神1丁目、白鳳台2丁目行バス「張井」下車、徒歩すぐ
鶏いそのかみじんぐう石上神宮
暁に時を告げる鳥として神聖視されるニワトリ。『記紀』には、天岩屋戸(あまのいわやと)に隠れた天照大神を呼び出すため、ニワトリ(長鳴鳥(ながなきどり))に一斉に時を告げさせたとの記述もあります。石上神宮では40年ほど前に奉納され、現在も約30羽が自由に境内を歩き回っています。
神武天皇を助けたという神剣・布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)を祀る古社。古代の軍事氏族・物部氏の総氏神で、拝殿〈国宝〉は平安時代に宮中の神嘉殿を寄進されたものと伝わっています。
- 天理市布留町384
- 0743-62-0900
- JR・近鉄天理駅からバス「石上神宮前」下車、徒歩約5分 または 徒歩約30分