白鳳とは
文化史上・美術史上の時代区分のうちの一つ。天武天皇、持統天皇の時代を中心とした、飛鳥時代後半(645年以降とされる場合が多い)から平城遷都までの時代。
※時代区分には諸説あります。
白鳳仏の特長
すぐれた金銅仏が多く作られました。若々しくふくよかな顔つき、倚像や姿勢に動きのあるものなど表現力豊かで、塑像、乾漆像、塼仏、石仏など素材の種類も多様化しています。
※特長には諸説あります。
写真:奈良国立博物館(撮影:森村欣司)
国宝
阿弥陀三尊像
(伝橘夫人念持仏)(法隆寺)
厨子内に納められた三尊像で光明皇后や橘諸兄の母、県犬養橘三千代が自らの邸内において信仰されていたと伝えられます。三尊像の背後には後屏があり、天蓋を具えた化仏の下に極楽浄土に転生したと思われる蓮華座上の新生の菩薩が表現されています。
写真:奈良国立博物館(撮影:佐々木香輔)
国宝
観音菩薩立像
(夢違観音)(法隆寺)
ふっくらとしたお顔にやわらかな体つき。衣や装飾はシンプルで、左手に小さな水瓶を持っています。「悪い夢をよい夢に変えてくれる」という言い伝えから「夢違観音」とも呼ばれています。
写真:奈良国立博物館(撮影:佐々木香輔)
重文
文殊菩薩立像
(法隆寺)
丸みのある肩のラインや穏やかな童形の表情に愛らしさや安心感をおぼえるクスノキの一木造の仏様。六観音と称される6軀の菩薩立像のうちの一つで、夢違観音と同じく大宝蔵院に安置されています。
法隆寺
所 生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1
☎ 0745-75-2555
行 ●JR法隆寺駅から法隆寺門前行きバス終点下車、徒歩すぐ ●近鉄筒井駅から王寺駅行きバス「法隆寺前」下車、徒歩すぐ
写真:飛鳥園
国宝
月光菩薩立像
(薬師寺)
薬師寺金堂の薬師三尊像のうち、向かって左側の脇侍。「首・腰・膝」を交互に折り曲げる「三屈法」という姿態。黒光る艶肌は、当時の鋳造・彫刻技術の結晶といえる美仏で、細部にまで込められた祈りの造形が胸に響きます。
写真:奈良国立博物館(撮影:佐々木香輔)
国宝
聖観世音菩薩立像
(薬師寺)
薬師寺東院堂須弥壇の中央、厨子の中から見守る仏様。ふわりと風に揺れそうなほど薄く軽やかに表現された天衣など、インドのグプタ様式の影響を受けた彫刻法で表現された優美なお姿は白鳳仏の傑作です。
写真:奈良国立博物館(撮影:森村欣司)
重文
伝虚空蔵菩薩立像
(法輪寺)
台座の蓮肉からすべてクスノキの一木で造像されています。寺伝で虚空蔵菩薩とされていますが、水瓶を持つ左手や右手の形から観音菩薩説もあります。天衣の流れに左右対称を基本とした飛鳥様式からの進展が見てとれます。
写真:(株)飛鳥園
国宝
仏頭
(興福寺)
685 年に開眼された薬師如来像の頭部。東金堂の旧本尊で、1411 年に被災し、頭部のみが残りました。伸びやかな弧を描く眉、切れ長の目元が印象的です。
写真:奈良国立博物館(撮影:佐々木香輔)
国宝
弥勒仏坐像
(當麻寺)
現在は中将姫が極楽浄土を織り上げたとされる「当麻曼荼羅」が信仰の中心ですが、こちらが當麻寺本来の本尊で日本最古級の塑像としても著名。所々に鍍金が残り、若々しくたくましいお姿が特徴です。
写真:奈良国立博物館(撮影:佐々木香輔)
重文
持国天立像
(當麻寺)
當麻寺金堂に安置される四天王立像のうちの1軀で、日本最古の乾漆像。身につけた鎧などは中国・随あるいは北朝時代のものとされ、お顔立ちにも異国情緒があります。直立するお姿に剛健さが秘められています。
写真:正暦寺
重文
伝薬師如来倚像
(正暦寺)
清酒発祥の地としても知られる正暦寺の本尊で秘仏。平素は厨子内に安置され、春と秋の特別公開で御開帳されます。台座に腰掛け、足は踏み割り蓮華に乗せた倚像の形をとる、白鳳仏らしい童形金銅仏です。
写真:正暦寺
奈良県
指定文化財
石仏
(石光寺)
境内から1991 年に発掘された、凝灰岩を丸彫りにした仏様は白鳳時代以前には今のところ例がないことから日本最古の石仏といわれています。「当麻曼荼羅縁起絵巻」に描かれた寺の縁起の物語を裏付けるような発見でした。
写真:奈良国立博物館(撮影:森村欣司)
重文
阿弥陀仏
(般若寺)
1964年、般若寺の十三重石宝塔の修理の際、およそ800年振りに発見された阿弥陀仏。箱書に「閻浮檀金ノ阿弥陀如来」とある高さ40センチ余りの小さな像で、大きな手と耳、弓なりの眉が目を引きます。
写真:(株)飛鳥園
重文
石造浮彫伝薬師三尊
(石位寺)
由来は定かでないものの、我が国残存石仏の中では最古級の石仏として伝わります。中央の如来の頭上には天蓋が彫られ、元来彩色されていた三尊の唇と天衣には微かにその色が残っています。
石位寺
所 桜井市忍阪870
☎ 0744-42-9111(桜井市観光まちづくり課)
行 近鉄大和朝倉駅から徒歩約20分