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特別講話

「地域産業や子供神楽(かぐら)を広める宇佐八幡ゆかりの氏神様」NEW 郡山八幡神社
宮司/上本 博之 氏

特別講話ダイジェストムービー(郡山八幡神社)

─郡山八幡神社はもともと違う場所にあったと伺いました。
─郡山八幡神社はもともと違う場所にあったと伺いました。
東大寺大仏殿造立の際、九州の宇佐神宮から勧請(かんじょう)した八幡神を分祀(ぶんし)し、現在の郡山城跡公園の北西に位置する小高い土地に祀(まつ)ったのが最初とされます。文献で確認できるのは室町中期頃だそうですが、社伝では創建はもう少し早い時期であったと伝わります。後に豊臣秀長公が郡山城に入られるとき、城を大きく強いものにするにあたって当社は遷座(せんざ)しました。一度大和郡山市内の「綿町」に遷ってから現在地に鎮座したようです。最初の小高い場所は「柳」という地域で、今当社がある地も「柳」という地名となり、「柳八幡宮」とも呼れています。
─「グラブ神社」としても知られておられますね。
10年程前になりますが、近鉄郡山駅近くにあるグラブ工房さんがご参拝においでになったことをきっかけに各所から不要になったグラブを当社に納めていただいて、海外の子どもたちに贈る活動をしています。東北で震災が起こったときには、現地の子どもたちにもお届けしました。子どもたちには元気いっぱいに遊んでほしいですね。八幡様は勝負の神様なので必勝祈願やプレーの上達を願ってのご参拝も増えました。以前はグラブ祭という行事をしていましたが、コロナ禍以降中止しています。あのときに途切れたものもあるので、今からまた急がず、たゆまず、ゆっくりと紡ぎ直していかなければと思っているところです。
─例えばどういったことを紡いでいきたいとお考えでしょうか?
地域のお子さんに集まってもらい、巫女さんのお稽古をしてもらっています。こちらもスタートして10年ほどの取り組みで現在も続いています。当初は幼稚園生や小学校の低学年だった子たちが大きくなり、夏祭りや秋祭りのときなど拝殿で美しく神楽を舞ってくれます。ただ次世代につなげるのは難しいですね。でも、続けてくれている子たちは「お神楽が楽しい、舞うのが楽しい、お稽古が好き」と言ってくれています。そういう気持ちを地域の皆様と一緒に、この場所で後世に引き継いでいけたらうれしいですね。そうそう、本殿と拝殿の間に安置する狛犬が江戸初期頃の木製で少し珍しいものだそうです。そうしたこともお伝えしていきたいです。

プロフィール

郡山八幡神社/
宮司 上本 博之 氏(うえもとひろゆき)氏


1968年奈良県生まれ。奈良教育大学を卒業し小学校教員を勤めながら禰宜として父である宮司を補佐。2009年教員を辞し宮司に就任。「神様とご参拝の皆さんの中執持(なかとりもち)として励みたい」。

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