祈りの回廊

特別講話

「皆で助け合い、 この世に調和の世界を作ること」 當麻寺中之坊
院主/松村 實昭 師

ダイジェストムービー

─ まずは當麻寺についてお教えください
─ まずは當麻寺についてお教えください
今から1400年前、聖徳太子さまの教えにより、その弟君である麻呂子親王が建てられたお寺で、二上山の西側、河内国にあったと記録に残ります。現在、お寺のある二上山の東側に遷(うつ)されたのは飛鳥時代後期。二上山の麓にある当麻の地は、大和国から見て夕日を拝む方角、つまり夕日を見て来世に思いを馳せる、死者の魂があの山へ登っていくんだなと感じられる場所です。当時は役行者さまが開いた私領地でしたが、役行者さまが領地を寄進し、弥勒仏さまをご本尊として祀り、現在の當麻寺が始まったとされます。こうした経緯で、昔から山岳修行者が参拝されるお寺でもあります。
─ 弘法大師さまとのゆかりもおありだとか?
平安時代の823(弘仁14)年秋、中将姫さまの願いで織られた當麻曼荼羅(まんだら)を訪ね、弘法大師空海さまが當麻寺に来られました。お大師さまは曼荼羅堂に籠って、當麻曼荼羅と対話をなされ、何が描かれているのか─極楽浄土の様子だけれども、そこにどういう意味があるのか─を感得されたんですね。そしてその教えを中之坊の實辯(じつべん)住職にお伝えになりました。
阿弥陀さまを中心とする西方極楽浄土が描かれた當麻曼荼羅は、極楽浄土は身近にあり、仏さまは実は自分の心の中においでであると表しています。一人ひとりが菩薩になることで、この世にも調和の世界を実現できるのですよと。これは「皆で助け合う世界を作る」ということです。お参りくださった方々が「私たちが調和の世界を築こう」という思いを抱き、また、それができると感じ取っていただける、當麻寺は、そういう場所であろうと思います。
2023(令和5)年は、お大師さまが誕生されて1250年の節目。6月7日に弘法大師ご誕生1250年法会「降誕会」を當麻寺大師堂で行う予定です。またお大師さまが中之坊實辯住職に授法されて1200年でもありますので、秋にも記念の法要を計画しています。
─ 庭園の眺めも美しいですね
はい、いつでもお参りください。普段はゆっくりお過ごしいただけます。庭の池を眺め、ほっと穏やかな気持ちになり、心がリセットされ、またちょっと頑張ろうと思える。お寺に足を運んでくださった方が、そう感じてくださったら良いですね。

【弘法大師ご誕生1250年記念降誕会(ごうたんえ)當麻寺大師堂】
● 6/7(水)10:30~11:30
●ご参列の皆様には稚児大師像に甘茶をかけてお供えいただけます。
●堂内には入れませんが、秘仏の弘法大師像の扉が開きますので堂外から参拝できます。
●無料

プロフィール

當麻寺中之坊/院主 松村 實昭(まつむらじっしょう)師

昭和47年生まれ。平成8年より當麻寺責任役員。平成21年より現職。

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