祈りの回廊

特別講話

「仏さまは誰一人見捨てない救いの存在」NEW 安養寺
住職/松島 靖朗 師

特別講話ダイジェストムービー(安養寺)

─安養寺のご由緒などお聞かせください。
─安養寺のご由緒などお聞かせください。
寛永10年(1633)創建、源蓮社宝誉上人(げんれんじゃほうよしょうにん)の開山と伝えられるお寺です。ご本尊さまは阿弥陀如来坐像、また昭和60年(1985)に国の重要文化財に指定された阿弥陀如来立像もお祀りしています。寺の前を通る道は中街道。古代には下ツ道と呼ばれ藤原京と平城京を結んでいました。安養寺のある田原本町が交通の要所だったことを今に伝える道です。
─重要文化財の仏像は快慶作と伺いました。
快慶の別名である「巧匠安阿弥陀佛(こうしょうあんあみだぶつ)」の墨書きが見つかり、仏師・快慶作と判明しました。衣文線(えもんせん)などにも特徴がよく現れていて、仏師として脂の乗り切った壮年期の作とされています。近年は奈良県庁の皆様にもご協力いただき、年に2回春と秋に特別ご開帳日(※1)を設けています。特別ご開帳の際には、遠くにお住まいのご参拝者さんもおいでくださっています。

(※1)2025年春の特別ご開帳については秘宝・秘仏 特別開帳をご参照ください
─松島さんが発起人の「おてらおやつクラブ」とは?。
「仏さまへのおそなえものを困窮する家庭におさがりとしておすそわけ」する活動です。
きっかけは大阪で起きた母子の餓死でした。私が二度とこんな悲劇をおこしてはならないと考えたのが「おてらおやつクラブ」です。仏さまは誰一人見捨てない救いの存在だから、おすそわけをすることは仏さまの願いにかなうはずとの思いで続けてきました。平成26年(2014)スタートなので丸10年経ちました。おかげさまで活動の輪は仏教の宗派を超え、神社、キリスト教会、天理教の方々もご参加くださり、日本全国47都道府県に広がっています。昨秋には『おてらおやつクラブ物語』という本が出版されたり、個人の方も企業も自分たちにできることを持ち寄ってくださっています。誰かが引き継いで持続できる仕組みであるように、「おてらおやつクラブ」はNPO法人化しています。子どもたちを笑顔にしたい、子どもたちの貧困をなくしたい。助けを求める方にとって、つながりやすい支援であれるように。いろんな方々にご協力いただきながら、社会課題の解決を目指し続けたいと思います。

プロフィール

安養寺/
住職 松島 靖朗(まつしませいろう) 師


奈良県生まれ。一条高校外国語科、早稲田大学卒業。NTTデータ、アイスタイルで企業経営に従事後、2010年に僧侶となる。「おてらおやつクラブ」が2018年度グッドデザイン賞大賞を受賞。 

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